「もっと前から税務調査の準備をしておけばよかった・・」「不安で夜も眠れない・・」「他人事と思っていたがまさか自分が・・」「取引先にまで調査が連鎖するなんて・・」「調査後の納税額が払えない為、自己破産を勧められた・・」等々、税務調査があった社長からこんなお声を耳にします。
税務調査は中小企業を営む場合はいつかのタイミングで発生するものです。そして基本的には、税務調査では真面目な社長に対しても「あなた、脱税していますね」と疑いの目で行われます。
その為、日頃からの準備がでていないと大変大きな経営リスクとなってしまいます。
ほとんどの方が生命保険や損害保険に加入された経験や現在されている方も多いでしょう。税務調査は、そのような大きな保険を使う機会より多くの場合は高い確率で発生します。そこで、当ページでは中小零細企業を営む者として最低限知っておきたい税務調査に関する情報と、その対策について説明しています。
一所懸命育ててきた事業が、思わぬところで躓くことのないよう日頃から準備を進めておきましょう!
税金の間違いや申告に不正がないかの確認に、税務署職員が来て行われるのが税務調査です。申告した時点では、税務署は単に受け付けているだけなので、正しいと判断したわけではありません。最新の申告年度から、過去に遡って調査されます。税務調査は、質問検査権の行使を伴うものであるため、残念ですが、税務調査は断ることはできません。必ず受任義務があります。通常は、事前連絡がありますが、事前連絡をすることで適正な税務調査を行うことが困難になると予想される場合には、事前連絡がなく突然調査官が訪ねてきて、その場で税務調査が開始されることもあります。無予告調査といいます。
売上や経費の計算について、基本は代表者へのヒアリングと帳簿や請求書、領収書、契約書などの資料がチェックされます。これに加え、必要に応じて銀行や取引先等へも調査されます。所得金額の算定に誤りや不正があれば、法人税や所得税、消費税に加え地方税、住民税や事業税、社会保険料(国民健康保険料)等にも影響が出てきます。また、加算税、延滞税、場合によって重加算税等が追加されます。それに、3~7年分を掛けますので、場合によってはかなりの金額を一括で納税しなければならない状況となります。一括納税が出来ない場合は、完納まで延滞税が発生し、払えない場合は財産の差し押さえの可能性が出てきます。
法人成りでなければ、開業してから3年はよっぽどのことがない限り調査に入られることはないでしょう。大抵は、早くて開業後3年程度経過後になります。どのくらいの頻度で来るのかは様々ですが、開業してから7~10年程度してからが多いように感じます。もちろん、業種やその会社の決算書状況や取引先等により、いつ税務調査が入るかは何とも言えないのが正直なところではあります。ただし、一度でも不正があった場合には、記録が残る為、その後は要注意先として 3年程度で頻繁・定期的に調査に入られる状態になります。
結論からお伝えしますと、短くて3年間分、最長で7年間分となります。調査期間が7年となる場合は脱税等があった場合となります。不正や脱税等がなければ3~5年が多くなります。これだけ過去のことを調査されると多くの方は記憶があいまいになり説明が出来なくなってしまいます。その為、しっかりと記録を残し、過去の取引についても説明できるよう備えておく必要があります。税務調査では、20%以上の確率で「不正」が発見されており、この場合は7年となりますので、最長7年と言えどもそれほど珍しいことではありません。
会社の規模や状況にもよりますが、小さな会社でスムーズにいけば1~3日程度の臨場(会社に来ること)のケースが多いかと思います。ただし、臨場の日数は1~3日程度ですが、細かい確認などを税務署内部で行う為に、調査官が資料を預かっていくこともあります。預けるのを拒むとかえって、臨場日数が増加するため、何度も臨場するのを避けるために預けることもよくあります。これらを、考慮すると通常調査日から終了するまでには1か月~2か月弱かかるケースが多くなります。ただし、内容や対応によっていは長引くと半年くらいかかることもあります。
調査先である納税者からの説明や資料だけでは事実確認が出来ない場合には、取引先等に調査が入ることもあります。反面調査に入られると、それだけで「何か怪しいことをしてるのではないか」と思われ、今後の取引などに影響する可能性がありますのでできれば避けたいものです。基本は、反面調査も事前に通知することとされていますが、適正な調査ができないおそれがある場合には、事前の通知なしに反面調査出来るとされていますので注意が必要です。
税務調査先の選び方としては、KSKシテムが現在の王道となっています。システムに決算書等の数字を打ち込むと、前期比較、各勘定科目の推移、同業者比較等により、異常値があると注意喚起のマークがつくシステムです。これにより、第一段階の選定をすることが多いといわれています。
ただし、国税局や税務署には金融機関の取引履歴等を確認する専門の税務調査官が存在したり、内観調査と言って直接店を客として訪問、資料せん、タレコミや反面調査等様々な方法により情報収集が行われているため、単純に決算書の数字のみで選定しているわけではないと理解しておくことが重要です。
また、申告された企業全体に占める赤字企業の割合が7割を超えている現在においては、「決算が赤字であるといっても、申告内容が正しいとは限らない」と調査官は考えている為、「赤字だから税務調査先として選定されない。」というのは完全に都市伝説となることも抑えて頂きたいと思います。